警察に捕まった時の「容疑者の権利」について また警察が出来る事。
本日は以前、警察に捕まった時にどうなるのか?の第二弾として、容疑者の権利について、もう少しお話をしていきたいと思います。
容疑者は、あくまで「容疑があるだけ」なので、「犯人」として捕まった訳では無い事は、以前にもお話させて頂きましたが、この時、自分が持っている権利について知らないと、裁判で不利になる恐れがあるので、知っておくに越した事ないですよね。
最初に言うと、あまり権利はないんですけどね・・・
まず、以前より話題となっていた取り調べの可視化については、警察官の取り調べでの「過度な自白強要」が冤罪などを生み出す土壌になったりして問題となり、取り調べの可視化に対する法律が施行されました。
この事について、ちょっとお話します。
刑訴法198条により、「取り調べに際し、出来る限り取り調べの状況を録音・録画するものとする」とされています。
これが取り調べの可視化につながるんですが、実は全てが可視化されているのではなく、刑事告訴案件のほとんどは、可視化されていないとされています。
これがどういうことかと申しますと、警察官の取り調べの可視化は、「裁判員裁判」対象案件のみとされています。
裁判員裁判については、皆さんもご存知かと思いますが、この裁判員裁判は、どんな事件でも対象となる訳では無くて、「殺人」「傷害致死」「強盗致傷」「現住建造物放火」「身代金目的誘拐」等の重大事件の場合しか採用されません。
大げさに言えば、99%の事件には該当しないのです。
ほとんどの方は、普通に生活している限り、該当しない事件に巻き込まれる程度だと思います。
可視化されたとは、あくまで我々に関係無いであろう一部の事で、現実問題としては、可視化されていないと考えていた方がいいでしょう。
ただ、ここ最近の改正案で、「裁判員裁判」対象の被疑者以外の人が抑留・逮捕された場合は、取り調べの状況を録音・録画するよう申し出ることが出来る旨を告げる事が義務付けられ、申し出があれば対応しなければならないとされています。
原則として、全ての事件の被疑者の取り調べで録音・録画することは、捜査機関の「努力義務」とされています。
努力義務なんで、あくまで義務じゃないから「強制力は無いけど、努力はするよー・・・」っていう事です。
このことより、可視化なんてものは、ほとんどないに等しいと考えた方が正しいでしょう。
ちなみに、警察が公表している検挙数というのは、変な話、余罪で支えられていて、捕まえた人の余罪が出てきているので、検挙数が上がっているのです。
つまり端的に言えば、一度でも捕まった人の余罪は発覚する可能性は高いけど、一度も捕まった事もない人の検挙数は、あまりないという事です。
これは警察が仕事をしていないという訳では無く、それだけ検挙することが難しいということなんです。
それを証拠に、この間捕まった広島市甘日市市の事件も、傷害事件の余罪として今回の事件が発覚しましたよね。
現行犯で逮捕しない限り、日本の警察の捜査は、DNA・指紋・写真・監視カメラ・通信傍受(電話・インターネット)に依存していると言っても過言ではないでしょうね。
つまり、探偵でいうところのデータ調査類に関するものです。
探偵業法で規制されていて探偵にできない大半は、警察は行う事が可能です。
特にDNAについては、警察は率先して収集をしているようで、これにより、犯罪を行う人間は、言い逃れが出来ない状態になってきます。
計画的犯罪であれば違うかもしれませんが、突発的な犯罪などは、どうしても指紋やDNAなどが現場に残留してしまいますから。
この事より、逮捕歴があるものが再犯を起こした場合、DNAで簡単に解ってしまいます。
また監視カメラは首都圏では、商店街や公共の乗り物にも設置されていますし、タクシーやドライバーなどでもドライブレコーダーなどがありますし、コンビニや商店でも防犯カメラがあり、監視の目がかなり行き届いています。
突然走り出したりすると、カメラが自動的に、その人物を追ったりする高性能なカメラもあります。
監視大国アメリカに続き、監視大国として完成されつつある今の日本です。
正直、警察に調べられないものは無いと言っても過言では無いぐらいのデータを保有していますので、あとは、このデータと被疑者をどのように関連付けるかだけでしょうね。
話はそれましたが、権利について。
逮捕された時の取り調べでは、ICレコーダーの持ち込みが出来ないので、取り調べが終わった後の弁護士が差し入れする「取り調べノート」に記入するぐらいでしょう。
但し、「任意」での取り調べでは一転して、権利が結構あります。
まあ、そりゃ任意ですからね。
当然と言えば当然なんですが・・・
任意の場合、自己の方法でICレコーダーを持ち込んだりも出来ますが、ただ、「事前にICレコーダーを使ってもいいか?」許可を取る必要があります。
これまでは、メモを取ったりするのも、現場の取調官から拒否されていましたが、現在は被疑者に対する人権も認められてきました。
ちなみに通常逮捕をする為に、任意で警察が被疑者の自宅に来た時に、「逮捕状持ってこい」っていう人いますけど、警察が裁判所に逮捕状請求して、棄却されるのは1%にも満たないので、令状発行を請求すれば、ほぼ逮捕することが出来ます。
少しでも時間を稼ぎたいと思って、そう言ったとしても、動かしようのない事実では証拠隠滅する事は困難ですし、逮捕状請求している間にも完全に監視されていたり、盗聴されている事もあるので、実質、隠蔽は困難でしょう。
つまり、警察が任意だろうが何だろうが動いた時点で、拘留は、ほぼ決定事項となっていると考えた方が得策です。
実は、「可視化」を法案で通す代わりに、特定犯罪の被疑者が他人の刑事事件について真実を供述したり、証拠の提出に協力することを条件に、起訴しないとする司法取引が合意されたと言われています。
但し、これは検察官と被疑者の間で合意があり、更に弁護士の同意も必要とします。
ここでいう特定犯罪とは「公務執行妨害」「文書偽造」「汚職」「詐欺」「横領」「恐喝」「組織犯罪処罰法違反」「収賄」「覚せい剤取締法違反」「銃刀法違反」になります。
ここまでの話の中で、警察はおおよそストーリーに基づいた動きが出来る構造になっていることが理解できるかと思います。
今後、上記でも述べている通信傍受の中身についてお話をしていきたいと思います。
これを聞くと、警察の権力は絶大で、やれない事は、ほぼ無い事が理解できるかと思います。
電話・インターネット・メールなど多くの人が使うツールは監視されていると考えた方がいいかもしれません。
ただし、犯罪者のみというのが建前ですが、予備軍も監視されている、もしくはいつでも監視可能です。
警察が犯罪者だけではなく、元恋人の身辺調査やストーカー行為に活用して、処分を受けたなんて話はわんさか出来てきています。
自分の身は自分で守る事をお勧めします。
お客様から私への成績表です。
ポチっと押してくれた数が多ければ、それを指針にして活動を行なっていきます。